column03 インテリアコーディネートは起業に似ている

こんにちは!中居綾です。


毎日寒いですね。寒い中でも横浜では梅が咲き、私の花粉症も若干始まってきています。(ずるずる)
皆さんの地域ではいかがでしょうか。

春の気配を感じるとやっぱり気持ちがウキウキしてきますよね。インテリアショップやブランドも、展示の仕方を春らしく変えていく季節。私も楽しみながら見て回っています。



この1月はパリでデコオフというインテリア・暮らしの祭典(主にファブリックや壁紙の新作展示)が3年ぶりに開催されまして、参加企業様のインスタライブなどそれこそウキウキと拝見しましたが、ヨーロッパの方ではもう「コロナ明け」が主流のようですね。待っていましたと言わんばかりの明るいカラー、華やかなデザインのコレクションが満載で、刺繍などを用いた立体的なデザインが目を惹きました。デコオフで発表されたものは徐々に日本でも取り扱われるようになりますので、引き続き情報をキャッチしていきたいなと思っています。

パリのデコオフの様子(@parisdecooff_officialのInstagramより)




インテリアコーディネートは起業に似ている

さて話は変わりまして、今日は「起業」と「インテリアコーディネート」ってとてもよく似ているな、と感じた話をします。

色んな「起業」の形があると思いますし、色んな業態のコーディネーターがいますから、あくまで私が感じたことになりますが、お伝えしますね。

基本はどちらも「掘る」


よく似ているな、と思う最たるところは、起業もインテリアコーディネートもとにかく、本当に自分がしたいこと、やりたいこと、目指したいことは何?と「根っこ」を掘りあてることが大切だ、という所です。



私も「個人で仕事をする!」と決めてから、自分の中身を掘る作業を一生懸命してきました。



最初は、育休明けで仕事がうまくいかないトゲトゲした自分との戦い。社会へのアンチテーゼも猛々しかった。正直、子供なんて産まなきゃよかった・・と何度も思ってしまいました。でも段々と、そこに怒っていても答えはないことに気づいて(もう時間は戻せないし、愛する子どもを捨てることなんて絶対にできないのだから)本当に私がやりたいこと、自分の経験と感性を提供できる方ってどんな方だろうと思った時に、



一生懸命生きている人、次のステージに進んで前を向いている女性へ、インテリアから背中を押していくことが、本当にしたいことだと気づいたのです。



前回のcolumn02でも書きましたが、理想のインテリアを知るためには自分の根本に向かうことが大切なので、この辺りのフェーズは「起業」と「インテリア」は本当にそっくり。

そしてどちらも「行き詰まる」

そしてもう一つ、この2つが似ているところは、「結局自分のことは自分が一番よくわからん!!」と行き詰まるところ。笑



起業初期の時も「これは1人でやるのには無理がある」と思いました。まず孤独。そして不安。笑



さらに、「あの人より自分は劣っているし、もっとすごい人たくさん居るし・・」とウジウジと停滞する時期も絶対にあるので、ある程度のところでお金を出して、教えてもらって、助けてもらうのは必要だったなと思います。



自宅のインテリアも「これで本当にいいの?」と思うことはないですか?間取り、家具、片付け、心地よさ・・。私はめちゃくちゃあります。笑 意外でしょうか。インスタに自宅の写真をあげていますし、ホームページでも至る所に自宅の写真を載せてはいますが「本当にこれ世の中に出して大丈夫か?!」の気持ちとは常に闘っています。笑 全然自信はありません。



趣味で素敵なご自宅を紹介している方の多くは、プロの方(第三者)に提案してもらって作ったというフェーズがあるから、自信を持って見せられるんだろうなーと思います(もちろんその方のセンスや表現力がずば抜けているのも前提としてあります)。



私の場合、間取りも内装も家具も全部自分で考えてしまったので、いいか悪いか、正直言って客観的な判断がつきません。自宅をリノベした当時はマタニティハイも手伝って、今では考えられない「?」な場所も実はけっこうあったりして。



ちょっと私の例は特殊かもしれませんが、要はインテリアを生業にしている者でさえ、自分の家に関してはけっこう自信がない、ということです。笑 (これ、うなづいてくれる同業の方たくさん居ると思う)



家ってかなりパーソナルな部分です。人を招かなければ他人に見せることはまずないし、「心の中」にとっても似ているんですよね。

なぜ窓のない洗面所に濃い色のタイルを貼ったのか
あの頃の私に問いたい


インテリアコーディネーターとして起業をめざしてよかった

とりとめのない話になってきていますが、私は独立しようと思わなければ、「インテリアも掘ることが大事」とは本当の意味では気づかなかったように思うのです。



企業の中でリフォームやリノベの仕事をしていた時は、もちろんお客様の希望をヒアリングしてそのライフスタイルに合う間取りでベストだと思うものをご提案していましたが、「本当に叶えたいことはなに?」と深堀することや、「こんな日々を送りたい」という妄想を共有したり、インテリアの方向性を表現する、仕上げとしての家具・カーテン・小物・その飾り方・・など、細部に至るまでの提案には至っていませんでした。



やりたくても、分業制であるハウスメーカーやデベロッパーに居ては、担当者レベルでのそこまで一貫したサポートができなかったという現実もありました。


家づくりは「自分に問う」ことの繰り返し。
自分に合った選択を


家づくりをサポ―トしてくれる窓口として、色んな業界、業態があります。「そこまで入り込んでほしくない、自分のやりたいことがはっきりしている」という方は、ビジネスライクな距離感で居てくれるハウスメーカーや工事店にお願いするのがスルッと済んでいいと思います。



逆に、もっとこうしてほしい、提案が欲しい、一緒に考えてほしい、小規模だけどこだわりたい!という方は、自分の感性に近いコーディネーターを探されるといいと思います。「この人の言っていることや雰囲気は、自分にとっていやじゃないな」という感覚もとても大事です。その人から出るフレーバーっていうんですかね。笑 フレーバー、大事です。



私はハウスメーカーにいた時も、家具ブランドで提案販売をしていた時も、自分で言うのもなんですが一生懸命仕事をしていました。けど、今の自分の方がお客様との距離感やお伝えしている内容は好きなのです。同じ人間だけれども、今の自分の口から出る言葉の方が好き。起業の勉強を通して、お伝えしたいことや大事にしていきたいことが以前より定まったからだと思います。



大変だったけど、自分を深堀してよかった。そして深堀って本当に大変だということも身に染みてわかりました。インテリアで困っている方の深堀時間が少しでも楽しく、軽やかになることを願って、これからも精進していきたい所存でございます^^



お読みいただきありがとうございました!



中居 綾